妖精さん

倦怠感で横になっていても頭がはっきりしているとやることが無いのでひたすら妄想に身を寄せてしまう。
そんなことを考えながら何の気無しに開いていた扉に目をやると隙間からひょっこり妖精さんが現れた。
さて、どうしたものか。


とりあえず挨拶をしよう。


「はじめまして。人間のDukeと言います。」


はて、妖精さんに日本語は通じるのだろうか。


すると妖精さんは直接こちらの意識に語りかけてきた。
ああ、なるほど。直接意味を伝える伝達手段なのか。これは便利だ。言葉で表現できないような感情なども相手に伝えることができるし、意図が間違って伝わることも無いだろう。文化間の交流だって簡単だ。ぜひ儂も習得したいものである。


妖精さんと仲良くなった儂はその後しばらく一緒に暮らしたがある日儂がふと溜息を吐く(つく)と妖精さんはぽとり、と力なく地に落ちてしまった。
嗚呼、なんてこった。「溜息を吐くとと妖精さんが一人死ぬ」という言い伝えは本当だったのか!なんてこった。
もう溜息なんて吐くまい…
まぶしかった日のこと…そんな秋の日のこと…


…暇だなぁ。