医の博物館

【公式サイト】http://www.ngt.ndu.ac.jp/museum/
近くに寄って時間があったのでふらりと行ってきました。なかなか興味深かったです。内容は古医書や浮世絵、医療器具に昔の生活道具など様々。
医書では有名な『解体新書』の原本(といっても木版印刷ですが)、さらに15年先駆けた日本最古の解剖書『蔵志』、漢方医学のバイブル『傷寒論』やダーウィンの『種の起源』、ナイチンゲールの『看護ノート』『病院ノート』など有名な書籍を生で見ることができました。あと以前にも見たことがあり気になっていたのは『ヴァルベウダ解剖書』の挿絵で、ヒトがナイフで削いだ自分の皮をまるで全身タイツのようにして(グロ注意反転)手に持っているというもの。なかなか滑稽で好きです。
浮世絵はこれがまたおもしろくて明治時代の錦絵はカラフルかつコミカルではるか昔の様に思っていましたが現代に通じる感覚を覚えました。目立ったのは難病の治療図と産婦人科の絵、また感染症の注意啓発・啓蒙の絵や文で、病は鬼がもたらすという考えの通り患者に鬼が寄ってたかっていたり、軍人さんが鬼を退治していたり。
医療器具で気になったのは義歯ですね。日本で義歯が使われ始めたのは16〜17世紀と考えられていて当時は義歯床は木材で作られており、切歯などは蝋石、臼歯は真鍮だったようです。おそらく当時は高級で一部階級しか使っていなかったのではないでしょうか。またお歯黒の義歯もあり芸妓さんの苦労が窺えます。
最後に生活道具です。爪楊枝というのは現在でも馴染みがありますが昔は房楊枝(ふさようじ)というものがありました。これはなんと木で出来た歯ブラシで英名"wooden toothbrush"*1しかもブラシが方端のものでは反対端は扁平になっており舌クニーニングができるという機能性。仏教伝来でタイの僧侶は今でも使っているところもあるそうです。
思いがけず楽しめました。他にも小さな展示館・資料館などは市内に多数あるので機会があったら足を伸ばしてみようかと思います。

*1:ちなみに爪楊枝は"wooden toothpick"